「先端科学に対する個人的な科学論の本」 おすすめ度:
投稿日:2007-04-02
本書は序に続いて、「感覚」、「意識」、「記憶と無意識」、「侵略の恐怖」、「暴動の恐怖」、「死の恐怖」の6章、そして結論で構成されます。「感覚」の章では脳と嗅覚・視覚の科学的な記述を経て科学の限界の問いかけ、「意識」の章では脳神経科学の研究について述べられた上で意識についての問いかけ、というように本文が続きます。記述された内容は専門的で興味深く読めます。なお、序、結論を含めて、全ての章は独立した読み物と理解して、前後関係は気にしないのがよいようです。
邦題は先端科学を紹介した内容を期待させますが、それよりも先端科学が直面している状況に関する一種の科学論の本といえます。(著者の肺炎を契機とした科学者としての信念の変化、肉親の死というパーソナルな事例がかなりの重みを持って文中にでてくるなど、客観性を要件とする科学論とは趣が少々、違いますが。)
原題の"The Missing Moment - How the Unconsicious Shapes Modern Science"が、やはり、内容をよく表しているようです。