「入門書的なおもしろさ」 おすすめ度:
投稿日:2007-12-30
ああ、こういう人いるよなぁ〜っ、と
おもしろさ(興味深さ)ゆえ納得し、
自分のことを反省することもできた。
キーワードは「モノ語り」
豊かさゆえのアイデンティティの欠如。
「モノ」を拠り代にした心の安寧。
現在の「格差」意識の流行を背景として
読んでみても非常に興味深い。
「★彼女のモノ集めは、実は”自信”集め★」 おすすめ度:
投稿日:2007-11-13
●「精神化の敷居もずいぶんと低くなったものです」ということで<よろず相談>。
・カタログ時代のパーソナリティ(二つのオメガ、他)
・グルメ・ブームの精神病理(美食の効用、他)
・不倫ゲームの構造(モノこそが愛、他)
・ペットの両義性(人間もペット、他)
・「幸せ」に似合う家族(子どもの制服は親の勲章、他)
・豊かさの精神病理(自分への投資、他)
・ジャパニーズ・ドリーム(現代モノ社会、他)
●「自分についてであれ他人についてであれ、人そのものを描写し説明するのが苦手なのです」というところに、モノを通してでなければ自分自身や人間関係を把握制御できない病理の要因がありそうである。
●それにしても<モノ語り>患者の<問題探しゲーム>から始めなければならない患者の診療増加というのは、精神科医にとっても大変な世の中になったものだ。
「空虚な人々」 おすすめ度:
投稿日:2007-06-13
読んでいて、疲れました。「やさしさの精神病理」を読んだときもそうでしたが、こちらはさらに疲れました。自分や他人の性格が描写できず、服装や持ち物でしか語れない人々。普通というか従来「その人はどう意地悪なのですか」と聞かれたら、「口の利き方はいやみだし相手の痛いところをつついてくるし」といった性格描写くらい、特にインテリでなくても出来たはずが、それすらできない人々。政治や世界情勢の話をすることはあるのでしょうか。それともファッションやグルメ以外の話はまるで出来ないのでしょうか。
犬が安いからという理由で捨ててしまった女性にはショックを受けました。犬は単なる商品ではなく、血の通った動物です。精神科医の立場上しかるわけに行かないのはわかりますが、一言注意してもよかったのでは。
こういう人たちの話を読むと、ねえねえイラク問題についてどう思う、だとか、この間フランスで大規模なストがあってねえ、そうなのよフランスはファッションとグルメの国であると同時にストと労働組合の国でもあるのよ、などといった話題をふっかけたくなります。いったいどんな反応が帰ってくるのかしら。そもそもこういう人たちはそんな話題に興味もつのかしら。「大きなこと」には興味ないのでしょうか。身の回りのことしか興味ないのでしょうか。
「豊かな現代社会の歪みを浮き彫りに」 おすすめ度:
投稿日:2007-06-07
具体的な症例・エピソードをもとに現代のねじれた「豊かさ」について論じた新書です。
実際のエピソードとそれに対する解釈とが交互にバランスよく配されているので、非常にわかりやすく、また納得しやすい一冊だと思います。
ここでのキーワードは〈モノ語り〉。
個性・能力・健康・幸せ・生活・・・あらゆるものをモノによって達成しようとする患者たち。
しかしそれは、モノを介することで生々しい衝突を避けようとする現代人の”やさしさ”なのかもしれません。
そのために葛藤に対する抵抗力が落ちて、些細なことで悩み精神科を訪れる人が増えている、というのはやはり問題なのかもしれませんが・・・。
問題を表面だけ見て、あるいは1面だけを見て議論をするのではなく、その背景にある時代性を捉えながら精神病理を語る著者の態度には好感が持てます。
バブル期前後のモノ全盛期に書かれた本ですが、本書で取り上げられた症例とその解釈は、現代におけるひとつの精神病理に対する議論としても十分な鮮度を保っています。
オススメ本です。
「「あとがき」がいい」 おすすめ度:
投稿日:2006-04-18
出版は1990年。今から16年前。「モノ語り」の人びとを精神科医の視点で描いている。一流品、本物、ポリシー、幸せ探し。当時の流行り言葉の数々を今読むと面白い。本書が書かれた時点では16年後に日本経済は「バブル経済破綻」と「失われた10年」を経て、「景気回復」の道を歩み始め、それと同時に「格差社会」が社会問題になるとは想像もつかなかったに違いない。
「モノ語り」の人びととインタビューする際の、著者である精神科医の作戦がまた魅力的だった。しかし、本書の真骨頂は「あとがき」にあると思った。著者の素直な思いが吐露されている。同著者の「貧困の精神病理」も読んでみたくなった。