「分かったようで分からない不思議な本」 おすすめ度:
投稿日:2006-09-02
二項対立は単なる二項対立ではないとし、その構造を説き明かす、そして変奏する。しかし変奏の果てにあるのは何か?
個別化の原理は、個人の代替不可能性、交換不可能性にあるとするのは分かるが、その根拠として個人の死を持ち出す必要性があるのだろうか。それならば個人の生を持ち出しても同じであろう。実際、著者は個人の死のほかに個人の歴史とも言っているが。
「現象学的他我認知の問題など、もともと存在しない」と断言してすっきりさせているように、個別化の原理は、個人の代替不可能性、交換不可能性にあると言い切るだけでいいと思う。
基本的には、自と他の関係性の問題、あるいは社会性の問題である。それは、著者のように「あいだ」の問題と言ってもいいが。どこからか自らに命令してくる、それは客観的にはありもしないのに主観的には生々しく聞こえてくる。加えて重要なのは、聞こえてくるのは言葉であるいうこと、ではなかろうか。
「読者を上から見ている印象」 おすすめ度:
投稿日:2006-07-09
この本を手に取ったのは、そのタイトルに惹かれたから。
実際に中を読んでみると、自分が想像していた内容とは全く異なり、統合失調症(旧精神分裂病)のこととかが書いてある。しかも、大半が著者の過去を振り返って書かれた思想録のようなものであり、読んでいるうちに退屈になってしまった。
しかし、そんな本は他にもたくさん巷に出回っているので、あまり気にしないが、この著者の読者に対する姿勢が気になって仕方がなかった。
それは「はじめに」の部分から始まるのだが、どうもこの著者は自分が医師であるということからか、自分の精神医学における貢献度をひけらかしているのかは知らないが、上から読者に対して話しているような印象を受ける。
それはちょうど、「一般読者であるあなたたちは無知なんだから、私の本でも読んで賢くなってくれたまえ」とでも言っているような雰囲気である。それがこの本の冒頭から始まり、結局その感じは最後まで抜けてなかった。
精神医学においての教養書としてはいいのかもしれないが、いかにも頭でっかちの人物が書いた印象がある。したがって、辛口かもしれないが☆1つ。
「「まとめ」の本」 おすすめ度:
投稿日:2003-12-31
この本はどうやら著者のこれまでの数々の業績の「まとめ」であるようだ。そのため、一つ一つの問題に対する主張がざっと述べられており、理解に苦しむことが多かった。とは言え、心身二元論がなぜ生まれたのか、を解明する部分には目が開かされた。この議論も、木村著「人と人との間」の延長であるらしいが、これまで心と体を分けて捉えていた自分を反省できた。著者の本をもっと読んだ後で、また振り返ってみようと思う。