「脳科学の研究の仕方」 おすすめ度:
投稿日:2008-03-15
脳のことについて興味があり,何冊か読んでみました.本書は分子生物学でノーベル賞をとった利根川進先生の講演と対談をまとめたものです.分子生物学に取り組むことになったきっかけや研究内容について分かりやすく書かれています.
その中でも,学習と記憶のメカニズムなどは非常に興味深いものでした.記憶を再生するにあたって,欠落した条件を補完できるかどうかは,脳の中で記憶そのものとは別の部分が関与しているというのには驚きです.もう少し詳しい話を聞きたくなります.
ところで,著者の先生の先生にあたる人から見ると,師弟関係3代のうちで7人ものノーベル賞学者が出ているとのことです.やはり優れた人のところには優れた人が集まるということでしょうか.あるいは,受賞者選定にあたってある一定の影響力のある人がいるということなのかもしれません.
講演録の部分と対談の部分で若干ダブりが多いのが残念です.出版社の意図でこのようになっているのでしょうが,つぎはぎの印象は否めません.
「ノーベル賞科学者の自信とプライド」 おすすめ度:
投稿日:2007-03-04
池谷祐二氏の本(進化しすぎた脳etc)を何冊か読み脳科学に興味を持ったので、軽い気持ちで本書を手に取りました。
偉大な人物の自伝や対談というのは、共感できるできないにかかわらず、それぞれの強烈な個性が現れるのでそれなりに楽しめます。
ただ、肝心の研究内容については素人が読むには難しいと感じました。
対談を読んで強く感じたのが、自分の価値観からすると利根川博士の考え方が科学に寄りすぎているということです。
もっとも科学者なのだから当然なのかも知れませんが。
「結局科学以外に人間のまわりでおこっていることを理解していく有効な方法があるのかということを問いたいわけです。」
「科学を悪い方向へ使うというのは、科学者の責任ではないんじゃないかと考えているんです。」
自分なんかは、今後さらに科学が発展していくと悪用されることで取り返しのつかない結果を招くような科学的発見(核どころではないレベルで)がされるのではと心配してしまいます。
一般人から見るとやや違和感のあるところもありますが、それらの主張からは科学者としての確固たる自信とプライドが伝わってきます。
それだけ科学を信頼して愛しているからこそなしえた研究なのでしょう。
「利根川先生の人生観がわかって楽しい」 おすすめ度:
投稿日:2005-05-14
脳科学講義というタイトルで脳科学の知識を得るための本としては別の本が良いだろう。
以前からセレンディピティーに興味を持っていて、いつかはこの分野を研究対象にしてやろうと思って少しずつ本を読んでいるのだが、この本もそういう意味で楽しい。
自分の半生を綴った第一章、異分野の方たちとの対話である4章、5章などは脳科学でもなんでもない、まさに利根川進その人となりを表す格好の文章である。
利根川先生自身が本書の中で、自分がもう一度ノーベル賞級の研究を研究をするのは無理だと述べているが、90年代に始めたノックアウトマウスを使った記憶に関する長期増強と連想記憶に海馬が果たす役割の解明など、分子レベルから生理学、行動のレベルまで統一して説明できる枠組みを提示したことなどノーベル賞級の研究だと思う。
超一流とはこういうことかと三流にしかなれない私などはため息が出る....
「理系学生に一読の価値あり」 おすすめ度:
投稿日:2003-09-29
利根川氏は,日本人研究者で最も成功した一人です.彼の現在の研究紹介よりも,彼の成功のメカニズムに学ぶ所は多かったです.中でも『私は若い研究者に,できるだけ研究しないように,勧めている』という言葉が衝撃でした。自分をconvinceする前に,方向性を確定してしまうのは良くない,という事なんですね。ここまで自己管理できて,初めて,成功の可能性が出てくる,というわけですから、、、いやいや、本当に勉強になります。
「人物像を知るのは面白い」 おすすめ度:
投稿日:2003-09-06
遅まきながら、立花さんの精神と物質を読んで利根川さん研究や人物に
興味を持ち、最近購入しました。
脳科学を知りたい人には物足りないかもしませんが、利根川さんの
人物像を知るのは良い本だと思います。