「格好の入門書」 おすすめ度:
投稿日:2005-10-04
有名な「引き裂かれた自己」よりは、こちらがレインの思想を理解するためには適切であろう。レインは「反精神医学」として知られる思想の実践者であった。彼は「精神病者は理解できる、彼らは対話可能な存在である」として、常識であった閉鎖病棟をなくし、社会復帰のための施設を設立したりといった活動を行った。晩年は恵まれなかったようだが、彼の訴えそのものはこの現代においてもアクチュアリティを失っていないと思われる。
レインが医師になった当時、勿論向精神薬はほとんど使えず、インスリン・ショック療法という危険度の高い治療が盛んに試みられていた。レインはこの治療の非人間性を糾弾する。しばらくすると現代でも用いられている電気ショック療法(ECT)が現れるが、これはある回数を超えると脳を破壊してしまう治療なのだ。レインは患者と向きあっていくうちに、彼らの妄想にもそれなりの根拠があり、理解可能であることに気付いてゆく。そしてその信念が後年「反精神医学」と呼ばれた主張に繋がってゆくのだ。
薬物療法が発達し、軽症化が進んでいるといわれるこんにちでも、当時と同様の偏見や蔑視は後を絶たない。レインの人間的な対応には教えられるところもまだまだ多いと思われるが、いかがだろうか。
「レインの現代的意義を問いなおす」 おすすめ度:
投稿日:2004-08-12
レインの現代的意義はもう、忘れられてしまったのであろうか。本書の原題は「Wisdom,Madness and folly」である「知恵、狂気、そして愚行」といったところか。これは旧約聖書の「わたしは熱心に知識を求め、知恵と結論を追求し、悪は愚行、愚行は狂気であることを悟ろうとした」からの引用である。 レインが今日の精神医学テキストで取り上げられることが少ないことは、聖書の普遍性とは対象的である。もっとレインを読み直そうではないか。衝撃の処女作『引き裂かれた自己』から入るものよし、このようにレインの思想がコンパクトにまとめられた文庫版もよしである。
「読み物として」 おすすめ度:
投稿日:2003-11-30
『引き裂かれた自己』や『好き?好き?大好き?』で有名な、精神医学者レインのエッセイです。
専門に研究されている方にとって、この本がどれほど参考になるものかは分かりませんが、レインがどういう態度で精神医学(そして、患者)に対峙すべきと考えているかを知りたいという方にとってはもちろん、一般の読書好きな方が、ちょっとした読み物として読むにも、面白く読める本だと思います。