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心と認知の情報学 (シリーズ認知と文化 5)

石川 幹人
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心と認知の情報学 (シリーズ認知と文化 5)の詳細
  • おすすめ度:まだ評価されていません。
  • 出版社:勁草書房
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心と認知の情報学 (シリーズ認知と文化 5)のカスタマーレビュー

「人の意識の応用科学のために」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2006-06-26

きわめて便利で楽しい本です。前世紀なかばにおける誕生以来、日ごとに発展し続ける認知科学を中心として、人間の「心(意識)」をテーマとした現代の研究成果が様々に紹介され、私たち人類が私たち自身についての科学的な理解を進化させているわくわくするような学問の現状が報告されています。心はコンピューターでプログラムできるか、心はどこにあるのか、心はいつあらわれたのか、社会的なコミュニケーションと心のつながりとは何なのか……実に簡潔な説明により、現時点で言える限りでたんたんと明らかにされていきます。よく配慮された「脚注」も、さらなる勉強のための文献リストとして使えそうです。
全体に、著者の考察よりも研究の広がりの紹介の方に比重が置かれていますが、しかし終わりに近づくにつれ著者独自の見解も披露されていきます。異質な個体同士の協力行動が要請されたことにより言語がメインのコミュニケーション形式が成立し、であるがゆえに外的世界の自己の演出者と内的世界の認知モジュール調整者としての「意識」が環境適応的に発生した、といった説が唱えられる第十一章などが特におもしろかったです。
最終章では、密接な人付き合いは150人程度までしかできない人類が、しかし情報ネットワーク社会の進展にともない膨大な量の主体と記号情報を通してのみコミュニケーションをとっていく必要に迫られた現在、いかなる情報メディア技術を発達させ、どのようなコミュニティを構想していくべきか、その問題解決案がわりとポジティブに提示されています。本書を通して、現代世界における心(意識)の科学の進化とその魅力をよく知った後に、そのような現実問題に対処するための具体的な立案を語られると、学問ってすごいなあ、と素朴に感動するものがあります。