「お勉強のまとめとしてはいいが、タイトルに偽りあり。」 おすすめ度:
投稿日:2004-12-18
物理法則は脳が作り出したものだ! という、悪しき文化相対主義者の言いそうなことが帯にも序文の冒頭にも述べられているので、大いに警戒しつつ読み進んで行ったのだけれど、なーんだ。内容は脳科学についての比較的新しい知見をまとめただけで、ニューロンとは何か、「モノ」はどのように認識されているか、そこでの情報処理はどんな形で行われていて、抽象概念はどんなふうにできあがるか、といった内容がそこそこ説明されているのはいいでしょ(でもディテールの羅列気味で、全体のテーマに貢献しない部分が多いのは日本人の著作にありがちな点)。そして確かに、物理法則というのを考えるにあたっては、そうした認知能力は必須だから、それをもって「脳は物理法則を作っている!」と主張することはできなくもない。でもそれはあまりにミスリーディング。物理学者が、脳科学に興味をもってあれこれおもしろがって勉強しました、というのはわかるんだが、お勉強をそのまま出されましても……。そして結局、それ以上の話はまだまだわかりません、と書いておしまい。これではタイトルに偽りありまくり。結局タイトルの問題提起は何ら答を見ない。そしてピンカーの本のように、その新しい成果の整理をもとにおもしろい知見や洞察があるわけでもない。結局何なの、という消化不良な読後感だけが残る。